Commission &PaulSmith

「&PaulSmith (&ポール・スミス)」は、英国を代表するファッションデザイナー、ポール・スミスが新進気鋭のクリエイターと取り組むコラボレーションプロジェクト。第二弾は「Paul Smith’s Foundation（ポール・スミス財団）」とともに、ニューヨークを拠点とするブランド「Commission（コミッション）」とコラボレートし、「Commission ＆PaulSmith（コミッション＆ポール・スミス）」を発売します。コレクションは、世代を超えたスタイルへのオマージュであり、ポール・スミスのアーカイブを深く掘り下げています

遡ること20年、ポールは亡き父に敬意を表し、何か特別なことをしたいと考えていました。父は、ポールが幼い頃から写真への深い愛情を植え付けた人物でした。初めてファインダーを覗いたとき、ポールの世界の見方は変わりました。そこで培われた哲学から、ポールは人々に、ただ“見る”（look）だけでなく意識して “見る”（see）ことを積極的に勧めています。

熱狂的なアマチュア写真家であったポールの父ハロルド・スミスは、自らも相当なスナップのコレクションを作り上げていました。それゆえ、ポールと父親の撮影した写真を並べた写真集を作ることは、父への賛辞を捧げるこの上ない方法でした。そうして発売された限定写真集『Father & Son』には、ふたりが共通して持っていた日常のディテールに対する優れた観察眼が表れています。

それは「&PaulSmith」プロジェクトの出発点でもありました。ポール・スミスは、ニューヨークを拠点とするブランド、「Commission」とそのデザイナーデュオ、ディラン・カオとジン・ケイと最新のコラボレーションに取り組みました。ロンドンを拠点とする「Ahluwalia」との昨年のパートナーシップに続くこのコラボレーションシリーズは、「Paul Smith’s Foundation」の支援のもと共同のデザインコレクションを開発し、ビジネス育成の指導により新進気鋭のデザイナーの作品を支援する、他に類を見ないものです。

ディランとジンは次のように語ります。「ポール・スミスのチームとアイデアを交換し、共通のビジョンを実行するにあたって、とても歓迎され心地よく感じました。ポール・スミスは自社の顧客やオーディエンスのことを熟知しています。（プリントからニットウェアまで）さまざまなチームと一緒に仕事をし、アーカイブやテクニカルなアドバイスを研究したことはとても実りがあることでした」

2018年に設立された「Commission」は、創業以来西洋ファッションにおけるアジア文化の表現方法を再構成し、その立ち位置を高めることを目指しています。「当時、アメリカには、アジア人であることや私たちの伝統について、私たちが望むように語ってくれるブランドはありませんでした」とディランとジンは語ります。ふたりはそれぞれベトナムと韓国からのアメリカ移民一世で、80年代と90年代の両親のワードローブを振り返り、しばしば家族のアルバムからインスピレーションを得ました。「出会ったとき、いずれはそれぞれ自分たちで何かを作りたいと考えていました。また、韓国とベトナムで育ったことから共通点もありました」と加えます。

ここで、写真集『Father & Son』に繋がります。ポール、そして「Commission」のふたりのレンズを通して見た世代を超えたスタイルへのオマージュとして、「Commission &PaulSmith」の新コレクションには、あり余るほどのノスタルジアが、ほのかなパンク、アメリカーナ、ワークウェア、そしてテーラリングの要素とともに含まれています。「この写真集は、私たちがインスピレーションを得るための重要な出発点のひとつでした。日本のストリートやショップのウィンドウ越しに捉えた瞬間など、私たちを虜にさせたシーンがいくつもありました」とディランとジンは語ります。

「このカプセルコレクションでは、テーラリングやシャツの着こなし、シルクのネクタイを取り入れることで、 “サラリーマン”のイメージにひとひねり加えています。また、レイヤー使い、ミスマッチ、テーラリングとスポーティーな要素の組み合わせなど、友人であるジェイソン・ライダーのスタイリングへのアプローチを通して、アジアらしさを意図的に表現しています」とふたりは加えます。

もうひとつ、インスピレーション源となったのが、ポール・スミスのアーカイブです。ミレニアムの直前と直後、具体的には1997/98シーズンと2002/03シーズンのコレクションに焦点を当て、ランウェイショーで発表された作品を新しい形で提案しています。

ディランとジンは次のように語ります。「この時期のポール・スミスのアーカイブには、いくつかの点で私たちと共鳴するものがあります。そこには、不遜さ、平凡さ、機能性といった破壊的な感覚があり、私たちが「Commission」のメンズウェアにアプローチする方法と大きく重なるのです。ブリティッシュパンクのグランジ的な要素とポールのアイデンティティの中にある “プレッピー”のタッチを尊重しつつ、ニューヨークのダウンタウンのカジュアルさとその着こなしに対する姿勢を取り入れようとしました」

ウールカシミヤのコート、ブラウンカラーの構築的なダブルブレストのウーステッドウールスーツ、そしてディランとジンのお気に入りのひとつでもあるスネークプリントのテーラードジーンズなど、ポール・スミスのヴィンテージアイテムのディテールを誇張し細長いシルエットにアレンジしたアイテムにご注目を。「ポール・スミスが数十年前にすでに取り入れていた要素という意味で、アイロニカルでモダンなアイテムが出来上がったと思います」とふたりは加えます。

「新しいアイディアに触れることは、私が『&PaulSmith』を始めたかった理由のひとつで、『Commission』にはそうしたアイディアが溢れています。私は、自分のアーカイブにも大きな誇りを持っていますが、ディランとジンが過去のコレクションに触発され、彼らならではのユニークなひねりを加えてくれたことを非常に嬉しく思います」とポールは語ります。

ディランとジンも同じ意見です。「90年代後半のポール・スミスのアーカイブには、私たちの心に響く豊かさがあり、プレッピー、センシュアル、ポスト・パンクをマッシュアップしたような、それでいてとても機能的でロマンティックなマスキュリンさがあると思います。私たちの商品とストーリーテリングに対するアプローチにも似たところがあり、さまざまなストーリーとその底意とが折衷的にミスマッチしているのです」